デフレに殺された日本国民

皇紀2682年(令和4年)6月5日

「妻は厨房で倒れ、3時間放置されて死んだ」牛丼チェーン「すき家」パート女性が"早朝ワンオペ勤務中”に突然死していた!《再び起きた"ワンオペ”の悲劇》 | 文春オンライン

「妻は仕事が”ワンオペ“であることをよく愚痴っていました。洗い物をして、調理して、レジを打って……。『仕事量が多い、1人でこんなに対応できるか』と。妻は倒れた後、3時間以上放置されていました。もっと早…

(週刊文春|文藝春秋社)

 まずこの女性とご家族に対し、衷心よりお悔やみを申し上げます。これが報じられた一日以降、皆さんの間でもさまざまな議論の対象になったことでしょう。

 ファストフードの中でも牛丼チェーン、特にゼンショー(東京都港区)のすき家は、強盗被害が発生した際にもいわゆる「ワンオペ(業務の一切を一人で対応させられること)」が問題になったはずです。それでも改善せず、とうとう一人の従業員を殺してしまいました。

 誰かが死ななければワンオペをやめられなかった(ようやく早朝帯のワンオペを今月末までにやめると宣言した)ゼンショーの問題は、そのまま安価な牛丼を歓迎してきた私たち国民の暮らしに直結しているのです。

 すなわち、すき家の安価な牛丼を食べることができてきたのは、こうした人びとの犠牲の上に成り立ってきたことになります。時間給に深夜帯の手当てがつくとはいえ、彼らの収入も決して十分ではなかったでしょう。

 「人に迷惑をかけてはいけない」というわが国、私たち民族の倫理観は、迷惑をかけてでも安価なものにすがるしかなくなった現下わが国でとっくに崩壊していたのです。

 給与・物価下落(デフレーション)を長引かせてきた財務省の「財政健全化こそ神・内需回復などどうでもいい政策」は、それに或る程度沿わねば内閣が潰される自民党や旧民主党ら時の与党によって完成され、今や給与下落のまま物価上昇(スタグフレーション)を招いています。

 企業は、私たち個人の「人に迷惑をかけてはいけない」の想いにすがり、わずか数人の社員・従業員にあれもこれもと業務を任せ始めました。つまり、個の倫理観と国家社会の倫理観が不均衡を起こしているのです。

 ことに東京都内では、こうした安価に雇える従業員にほとんど外国人を採用してきました。デフレ日本の暮らしを、そんな彼らが下支えしてきたのです。私が外国人移民に反対してきたのは、これほどの人権問題があるか、と。デフレ日本の移民推進は、こうした問題の拡大にしかならないと考えるからです。

 このような唱え方は、例えば「日本が外国人だらけになり侵略されてしまう」と訴えるよりも多くの国民に届きます。真実よりも「聞きたい言葉」を選ぶ必要があるのが政治活動です。極左暴力集団の集会やデモとは違います。

 経済政策に於いても、三日記事で取り上げたれいわ新選組の暴言ばかりでは、何一つ提案もなく進展もしません。給与下落に対応するための医療・介護従事者の最低賃金引き上げや、内需回復に大きな刺激を与える消費税率の引き下げ、または廃止は、今こそ改めて実現しなければならないのです。

 さもなくばデフレ、いや、今やスタグフレーションに殺される国民の数をどんどん増やすことになります。もう日本には後がない。

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『デフレに殺された日本国民』に2件のコメント

  1. アンチレッド:

    おカネの話は仕組みとしてなかなか複雑で理解しにくいものですが、本来の目的である必需品を入手することから考えた方がわかりやすいと思います。

    このブログでたびたび日本の買い負けが取り上げられますが、これをなくすことを財政健全化とすれば、例えば極端な話、原油1バレル100円で輸入できるようにするとか、そういう能力を獲得することが財政健全化になるわけです。
    かつての帝国主義による植民地支配では、武力で恫喝して相手国に不当な要求を飲ませることを行っていました(というか実際にはウクライナ紛争における圧力など、今でも行われていますが)。
    恫喝などではなく正当に原油1バレル100円での輸入を実現するには、相手からの相応の交換条件に応じる必要があります。
    こういう能力の獲得こそが本当の財政健全化であり、そのための政策が財政健全化政策であるはずです。それに財政出動が必要なら、それは将来世代へのツケではなく日本繁栄への投資と言えるでしょう。
    もちろん、可能な限り自国で必需品を賄うようにすることが最も大事なことですが。

    財政問題については、今度参議院選挙で躍進が期待されている参政党の元財務相官僚の松田学氏の「デジタル円構想」が注目されています。
    これは資産の裏付けなしに日本政府が発行する通貨とされています。
    しかし、「無から有は生じない」原則から考えれば、資産としてデジタル円を発行するなら、負債として通貨機能を保証する責任があると考えられます。
    例えば、デジタル円と米ドルとの交換を拒否されたりしないように米国と交渉する責任などです。
    敵は手強いと思われますが、こういうことをしなければならないところまで日本が追い詰められているわけですから、参政党の挑戦が成功することを願っています。

  2. 八百万の神の自由:

    > もう日本には後がない。

     その通りですね。
     「財政健全化は有害指標、経済不健全化」という事を国民は理解すべき。
     自国通貨発行国で変動相場制の国の財政指標は、実態経済に基づく判断が必要で、 スタグフレーション、コストプッシュ型インフレもデフレ(需要不足)化現象なので、内需回復の財政出動が必要。

     財政健全化目標が在る限り、人、企業、虎の子の技術が疲弊し、チャイナや外資に買われ続け、資本(人、物、金)を抑えられる事で政官財学メディアが浸食され、闘う前に属国。

     参院選は積極財政派の躍進が不可欠ですね。