インドネシア高速鉄道の怪

皇紀2675年(平成27年)9月30日

 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201509/2015092900527&g……
 ▲時事通信:中国案採用に「残念」=菅官房長官、不快感も-インドネシア高速鉄道

 インドネシア(尼国)のジョコ・ウィドド大統領が一度は白紙撤回した高速鉄道計画について、撤回が覆されるや否ややはり中共案が採用されました。これに対して菅義偉官房長官は強い不快感を隠さず、それを大統領特使に必ず伝えるよう指示したほどです。

 と申しますのも、インド(印国)の高速鉄道計画も中共国有「中国鉄路総公司」系の採用で決まりそうであり、英国の高速鉄道にわが国の日立製が採用されたのとは好対照をなす結果となりました。

 では、印国も尼国も「親中・反日」或いはそのように方針転換したのかと申せば、もちろんそうではありません。はっきり申し上げて、菅官房長官が呆れたほど中共側の提案がとんでもなく無茶苦茶なのです。

 平易に説明しますと、わが国が費用の七十五%を低利の円借款で賄う(残りは尼国の負担)としたのに対し、中共は金利二%で全額融資すると尼国に提案したのです。

 また、尼国で新設される鉄道会社のローン返済に尼政府の保証を求めたわが国に対し、中共はその保証もいらないと提案したため、もはや「ありえない条件」を提示してまで中共が日本案の採用を妨害していました。

 計画の総費用はハイスペックな日本案のほうが安価だったにもかかわらず、尼国はいわば「一万円の品を無料で配ると言い出したお店にとりあえず駆けこんだ」ようなもので、入店した後に何かと加入させられるのはもとより、既に(ご遺体を慌てて埋めて隠蔽しようとした)大量殺人事故を起こした中共製に対するリスクを考える暇もなかったのでしょう。

 ともすれば亜州インフラ投資銀行(AIIB)からの融資も中共にほのめかされたかもしれませんが、つくづくわが国がこれに参加、出資しなくてよかったと思えるのは、このような中共の暴力的なやり方が通ってAIIBが想定通りに悪用されれば、中共案の遂行のために日本が出資したカネが使われるという悪夢のようなことも起きかねませんでした。

 今回のような件は、とにかく不快感を伝えて静観するしかありません。中共のやっていることは決して長続きしないからです。わが国が焦ってこれと同じ手口を使っても得るものは何もありません。ならば不採用で結構なのです。

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『インドネシア高速鉄道の怪』に3件のコメント

  1. ゆき:

    いつか見た中国の鉄道企業はその数の多いこと、そして建設した路線距離が世界一。もう飽和状態らしい。欧州や日本の川重なども部品などを納めて中国で収益を上げていると言う。日本の協力なしには中国は自前で車両は輸出できないはずだ。下請けでもよしとする日本企業がいるのも確かだ。日本は自分で首を絞めている所がある。礼儀の厚い国と同じようにこんなイカサマ国に礼節で対応するのはばかげている。金を負けてやる代わりに事故が起きても仕方なしというような中国式にまでなれとは言えないが、どうせ数年もしたら死亡事故があったことも忘れるような金金で行くインドネシアのような国はその程度に毛の生えた位の車両でいいのでは。至れり尽くせりなどする方がアホというもの。イランのタクシーは扉が落ちそうになったりするようなひどいものが走っていた。制裁で部品がなかったのかも。慣れればそんなものかと思えたが、日本人の黴菌に対する極端な清潔好きが象徴するようにアフリカの彼方にまで、日本式の精密さ、几帳面さを届けようなんて。

  2. ゆき:

     川崎重工業(神戸市中央区)は22日、シンガポールの地下鉄電車72両(12編成)を、同国陸運庁から受注したと発表した。中国の大手鉄道車両メーカー「中車青島四方機車車両」との共同受注で、総額は約120億円。 川重の兵庫工場(同市兵庫区)が設計や台車など主要部品の製造を担い、中国で組み立てる。2018年~19年に納入する。

    2015/9の高速鉄道ではないが神戸新聞より。、組み立てはコストを削減するためか。上記の下請けとは違うが、確か部品を供給しているというニュースは目にしたことがある。

  3. 弓取り:

    まさにAIIBの先行例を見る思いですね。東南アジア諸国は、国家事業のインフラ整備をすすめるときに、こんな受注を繰り返していると将来に大きな禍根を残します。