日露関係は必ず進展する?

皇紀2675年(平成27年)9月29日

 http://www.sankei.com/politics/news/150925/plt……
 ▲産經新聞:28日に日露首脳会談開催 菅官房長官が発表 北方領土問題が主要議題に

 二十四日記事で日露関係に後日言及するようなまとめ方をし、コメント欄に頂戴したお尋ねに「来日中のニコライ・パトルシェフ連邦安全保障会議書記と谷内正太郎国家安全保障局長との会談結果をまとめてから」とお答えしましたので、大変お待たせしました。

 露国のウラジーミル・プーチン大統領と安倍晋三首相の会談は日本時間本日未明に開かれ、パトルシェフ=谷内会談の成果が発揮されました。まずセルゲイ・ラブロフ外相と岸田文雄外相の会談が実際どうだったか申しましょう。

 わが国のほとんどの報道が揉めに揉め倒したように伝え、ラブロフ外相は「領土問題は一切話していない」と述べて岸田外相をうんざりさせた様子ばかりが報じられました。

 しかし、私の知る限り外相会談のほとんどがいわゆる「北方領土問題」に時間を割かれたのです。しかも、私が特に麻生内閣の頃から領土帰属の国際法上有効な大原則で交渉するよう要望してきたこと、すなわち千島列島全島と南樺太の帰属はわが国にあるという前提を日本側が主張していることも分かりました。

 ところが、露国側がこれにどう応えたかは全く教えてくれません。今更ながらの伝家の宝刀「機密保護に抵触する」を振り回すのです。

 しばらくこれほど神経質な理由が判然としませんでしたが、日露首脳による電撃的解決以前に情報がわが国から漏れることを露政府が極度に嫌がっており、ゆえにラブロフ外相のあの態度を招いたと理解しました。

 そして、これまで何度も話し合ってきたパトルシェフ氏と谷内氏の会談によって実は露国側が提案してきた本日の日露首脳会談が決まり、パトルシェフ氏に同行したイーゴリ・モルグロフ外務次官と杉山晋輔外務審議官の外務次官級協議の再開も決定したため、プーチン大統領の訪日日程もまもなく発表されるに違いありません。

 露政府は目下、シリア問題に大手をかけようとしています。バッシャール・アル=アサド大統領側を支援してきた露国は、大規模な武器弾薬の提供で反政府派を一掃しようとする一方、反政府側を裏口から援助してきた米政府が「それら武器弾薬がアル・カイーダ系テロリストに横流しされていた」事実の発覚で手を引きかかっているのです。

 安倍首相は日本国憲法(占領憲法)第九条で交戦権が否定されている(占領統治国の求める戦争に反対できない)にもかかわらず、以前米政府に対して対シリア攻撃の協力を事実上拒否し、日露首脳会談の継続を主張しました。この「違憲状態」を誰が咎めるというのでしょうか。

 プーチン大統領が訪日前に米国で安倍首相に会いたがったのは、まさに米国でこのことを確認したい思惑があったからに他なりません。安倍首相も分かった上でのことでしょうし、いわゆる「安保法案」の悪影響などほとんどないのです。

 産經新聞社をはじめ未だ露国への否定的感情を隠さない政治論壇が存在しているのは承知していますが、プーチン大統領との日露講和を逃せば当分その機会はやってきません。ほかの政治家に適当な人物が見当たらないからです。

 この件については、安倍首相の本気を邪魔しないでください。

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『日露関係は必ず進展する?』に1件のコメント

  1. 心配性:

    昨日のNHKのクローズアップ現代では、「伝統的にロシアと関係の深いシリアをロシアが応援、“反米”で独裁のアサド政権に反対する欧米が反政府組織を支援」と言っていましたね。
    “反米”という言葉が強調されるのは珍しいです。

    なお、安倍総理はローハーニ大統領とも両国関係の強化を進める事で一致したようです。
    マスコミが何か言いたそうですが、両国とも“大人の対応”でよいと思います。
    早期の総理訪問が実現する事を願います。
    でないと、いつまでも「安倍総理はイランと戦争をしたがている」という深刻な誤解がついて回ります。
    早期に訪問を実現して、共同記者会見でも開いてしまえば、誤解や懸念も払しょくできるでしょう。

    日イラン首脳会談:経済協力推進 投資協定、早期締結目指す 核合意履行、日本要請http://mainichi.jp/shimen/news/20150928dde001010067000c.html

    >首相はこれまで、各国首脳に安全保障政策への理解を求めてきたが、ロウハニ氏との会談では安保関連法について触れなかった。国会審議では、集団的自衛権の行使対象として、イランに近いホルムズ海峡での機雷掃海を例示していた。同行筋は「時間が限られていた」と説明した。