訪米失敗の中共外交の危機

皇紀2675年(平成27年)9月24日

 独フォルクス・ワーゲンの不正発覚事件は、恐らく欧州経済に大きな影響を与えます。

 http://www.sankei.com/world/news/150921/wor1509210040……
 ▲産經新聞:中国外務省、日本課を廃止 「対日政策に変更なし」

 いわゆる「安保法案」の報道が惨めなほどほぼ姿を消し、中共の習近平国家主席の訪米忌憚のない意見を交換し合った(=揉めに揉め倒した)日露外相会談に関する報道が顔を出しましたが、まずは中共からいきましょう。

 実は習主席の訪米は、今月三日に北京で開かれた「抗日戦勝七十年記念行事」と同様に出発前から大失敗です。

 と申しますのも、全米の関心は日程が重なったローマ教皇(法王)の訪米にあり、ゆえに北京政府は教皇の訪米日程のほうをずらすよう米政府に要請したにもかかわらず、全く相手にされなかったために他なりません。

 習主席は初の国賓待遇で迎えられはしますが、外交儀礼上は天皇陛下とローマ教皇の下位にある習主席に対し、教皇のほうの日程をずらすよう米政府に要請したこと自体が大間違いです。まるで安倍晋三首相の訪米日程を優先して「教皇に退いてもらって」と日本政府が頼むようなものでしょう。ありえません。

 さて北京政府は、なぜ外交部亜州局から日本課を廃止しなければならなくなったか、当然事情を死にたくなるほど分かっているわけですから焦ったほうがよいでしょう。

 単純に「中共の日本外し」と見るのはいけません。外交部が対日政策を形式上主導させてもらえなくなったということは、共産党人民解放軍参謀部や党統一戦線部などの対日工作機関から「弱腰の役立たず」と見下されてきたからで、いわば「反日をやりたい連中のやりたいように任せる」という方針が過激化することを意味するのです。

 つまり、中共の軍靴の音はますます大きくなり始めたということなのです。

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『訪米失敗の中共外交の危機』に4件のコメント

  1. 心配性:

    >外交部が対日政策を形式上主導させてもらえなくなったということは、共産党人民解放軍参謀部や党統一戦線部などの対日工作機関から「弱腰の役立たず」と見下されてきたからで、いわば「反日をやりたい連中のやりたいように任せる」という方針が過激化することを意味するのです。

    しかし、経済もガタガタ、権力闘争も継続中、朝鮮半島情勢も不穏なこの時期に、日本叩きに興じても大丈夫なんでしょうかね?

    昨日BS日テレの「深層NEWS」で中国人エコノミストの柯隆氏が、「中国政府はこれから日本企業を大事にするだろう。中国は技術移転を欲しているが、技術を移転してくれそうな国は日本しかないからだ。だから、日本企業に対して『安心して商売してもいいですよ』といったメッセージを送るはずだ。」という、考え様によっては大変物騒な発言をしていました。

    だとしたら、「反日」を前面に出さず、「親日」ムードを醸し出した方がよいと思うのですが。
    日本人は、北風よりも太陽に弱いですからね。

  2. ブルー珊瑚:

    前略

    更新、ありがとうございます。
    いつも楽しく読ませてもらっています。

    去年から今年にかけて、内外のイベント盛りだくさんですよね。。
    中には、背景のよくわからないものも多く、先生の見解を参考にさせていただく場面が本当に増えました。

    先生の、いつも変わらず穏やかで、かつ丁寧な語り口に「これだよなぁ・・・これが保守なんだよなぁ」と思うことしきりです。日本の良き保守の存在に、心強く感じます。

    あ、ところで。
    本文に『・・・日露外相会談に関する報道が顔を出しましたが、まずは中共からいきましょう。』とありましたが、日露外相会談のほうの解説記事は、次回になるのでしょうか?
    米国の睨みがきいている中、とても気になる日露関係の裏舞台。。
    ぜひ、先生のスパッと切れ味のよい解説を聞きたいです。

    時勢がら、お忙しいとは思いますが、楽しみにお待ちしています。
    よろしくお願いします。

    草々

  3. 遠藤 健太郎:

     皆さん、いつもありがとうございます。

    心配性さま
     早速弱り目に祟り目の東芝がワナに引っかかりました。中共の創維集団(スカイワース)にいわゆる「白物家電」の権利を譲渡してしまいます。
     かつて危機に瀕して海爾集団(ハイアール)に白物家電の権利を譲渡した三洋電機は、そのまま潰されてしまいました。
     東南亜各国ではむしろ「パナソニックよりサンヨー」と言われるほど売れに売れていたにもかかわらずです。
     中共側から見れば「親日」という毒を飲まなくても日本側から盗れると思っているのではないでしょうか。現に日本企業が甘いばかりに盗れてきたわけですから。

    ブルー珊瑚さま
     日露につきましては、来日中のニコライ・パトルシェフ連邦安全保障会議書記と谷内正太郎国家安全保障局長との会談結果なども踏まえ、私がとれる情報があってそれをまとめられればお伝えします。今しばらくお待ちください。

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    白旗主義者


    北京政府は、なぜ外交部亜州局から日本課を廃止しなければならなくなったか?

    単純に「中共の日本外し」と見るのはいけません。
    共産党人民解放軍参謀部や党統一戦線部などの対日工作機関から「弱腰の役立たず」と見下されてきたからで、いわば「反日をやりたい連中のやりたいように任せる」という方針が過激化することを意味するのです

    これは実に注目に値しますね。

    もう自衛隊、米軍にレーザー照射したり、急接近したりと恫喝や挑発に遠慮も無くなった中国軍で、すでに中国政府のコントロールが弱まっていると言われて来たのだし、それがもっと具体的な表れ方をしたと言えるかもしれません。

    もともと、よく中国軍の将軍が日本を火の海にするとか言って北朝鮮と何にも変わらない体質を見ると今後、言葉、行動がエスカレートするということも日本はおりこんでおくべきでしょうね。

    そこで中国政府と軍とのせめぎ合いもあるんでしょうが。

    しかし、中国の恫喝にさっさと白旗をあげていては日本人としての矜持の欠けた孫崎享、寺島実郎、丹羽宇一郎などの仲間になってしまうでしょう。