沖縄二紙つぶせ発言に思う

皇紀2675年(平成27年)6月27日

 http://www.asahi.com/articles/ASH6V43P7H6VTPOB001.html
 ▲朝日新聞:琉球新報「表現の自由への挑戦」 百田氏「つぶせ」発言

 自民党有志が開いた勉強会「文化芸術懇話会」(代表=木原稔党青年局長)の二十五日の初会合で、作家の百田尚樹氏が「沖縄二紙(沖縄タイムズと琉球新報社)を潰さなあかん」、大西英男衆議院議員が「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番」などと発言したことが問題になりました。

 民主党の寺田学衆議院議員が安倍晋三首相にこれを問い質しましたが、国会内では野党有志が作家の大江健三郎氏らを招いて会合を開くこともあり、誰を呼んでどんな勉強会を開こうとそれこそ自由です。

 よって百田氏に対する評価は別にしても、氏の発言の自由を脅かすような質し方は認められません。もし百田氏を国会議員が断罪すれば、「民間人から言論・表現の自由を剥奪しよう」と民主党議員が言い出したという話になってしまいます。もう大江氏を招いて会合も開けなくなるでしょう。

 問題は与党代議士が「マスコミを懲らしめよ」と発言したことです。

 心情はお察しします。朝日新聞社も毎日新聞社も東京新聞社も沖縄二紙も、社の思想信条に着地させるための強引な記事が目立っており、報道の自由が聞いて呆れるほど事実関係を無視したものまでありました。朝日やNHKが自民党に呼び出されたのもそのような経緯があったからです。

 しかし、この発言は裏を返せば「政権批判を懲らしめよ」となり、その政権が民主党や日本共産党へ渡った時にも適用されかねません。いえ、今でこそ寺田代議士は今回のことを涼しく批判してみせましたが、自分たちが(もうないと思うが)再び与党になれば平気で政権批判を封殺にかかるでしょう。以前にも申しましたが、民主党政権時代に「内閣打倒」を掲げていた私は、実際に(某省官僚に救われましたが)圧力をかけられる寸前だったのです。

 現に民主党政権下で松本龍内閣府特命(復興対策担当)相が宮城県庁で「書いたらその社は終わりだから」などと報道機関に圧力をかけました。ですから、このようなことを与党議員が言うのは不適切なのです。

 要はなぜ記者締め出しの会合の発言がこうもダダ漏れになったのか、ということでしょう。政権批判は自由にしてよいがどこの国を想って言っているのか分からないような報道企業を懲らしめるのは、正直「あり」だと思います。

 祭祀の国・日本を想って安倍自民党政権を批判するなら、堂堂とすべきことです。

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『沖縄二紙つぶせ発言に思う』に3件のコメント

  1. ベッラ:

    いつも拝読させていただいています。
    今回のことは心情的にはわかるものの、やはり冷静な判断が必要と思いました。
    先生のお考え、納得しました。

  2. :

    単なる権力批判なら、それに対して批判された側が圧力をかけたり懲らしめようと言ったりするのは
    不適切ですし、民主主義を否定する危険性がありますが、一般市民や国民が、スポンサーに何気なく
    さりげなく問題視していることを伝えるのはOKですよね。
    (ただ、沖縄2紙の真のスポンサーに日本語が通じるかどうかはわかりませんが)

    それにしても、マスコミの職業倫理の欠如は末期ともいえる深刻な状況ですね。
    影響力を持つ者ほど自分を律しなければいけないはずなのに、自分達の私怨を晴らしたいだけの
    記事の書き方に、記者本人の精神的な未熟さを感じます。
    記者のみならず、ニュースや報道バラエティ番組の司会やコメンテーターも然りです。

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