外形標準課税という悪魔

皇紀2674年(平成26年)7月18日

 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EZ1Y620140624
 ▲ロイター:法人減税財源、外形標準課税の対象拡充を提言=政府税調改革案

 徴税の基本は、公平であることです。すべて国民に対して平等を貫くならば、低所得者への優遇策は必要ありません。しかし、それが及ぼす国民経済への影響を考えれば、必ずしも「平等であること」が公平とは限らないのです。

 安倍晋三首相が発表する成長戦略の致命的まずさについて、私は何度か例を挙げて申しましたが、法人税減税の穴埋めに外形標準課税の徴税強化を狙う政府の議論は、完全にデフレーション(給与・物価下落)対策を捨てているとしか指弾のしようがありません。

 日本銀行に量的金融緩和をやらせ、異常な円高からの脱却を目指し、「デフレでは駄目なんだ」と言いきった安倍首相は、第二次政権発足直後こそ立派でした。

 ところが、発表される成長戦略は、どれもこれも力弱く、おまけに最初に掲げた目標と逆行したものばかりです。まるで「安倍潰し」のようなこれら提言の出どころは、確かに財務省もあるでしょうが、やはり産業競争力会議の竹中平蔵民間議員とその背後にある(自民党と相性のよい)派遣業「パソナ」ではないでしょうか。

 外形標準課税は、事業所の資本金や床面積、従業員数などの「外形」から課税額を算定するもので、簡単に申しますと、人件費のかかる企業ほど税負担が重くなります。

 つまり、政府が課税対象に組み込もうとしている中小企業にしてみれば、人件費を下げるしかありません。これが「安倍政権でもう一度深刻なデフレが始まる」と私が警告した原因の一つです。

 また、人件費を「外注」すれば「外形」から外れますから、中小企業は、竹中民間議員が「最大の既得権益(=悪)」と扱った正社員を全員解雇し、パソナのような「労働力置屋」に人間を外注することでしか、この倒産の危機を招く徴税策に打ち勝ち、生き残る方法はありません。大企業も当然同じことをするでしょう。

 これのどこがデフレ対策なのか、二百字以内で述べなさい。(句読点を含む)

 安倍首相の過ちは、消費税増税を予定通り進めてしまった(財務省を押さえ込まなかった)ことと、首相官邸内の空気に流されて経済産業省職員を滋賀県知事選挙候補に出して敗れたこと、竹中氏のような者を政策提言の場に入れて大きな顔をさせていることです。

 わが国にあるほとんどが中小企業であり、私たち国民の大多数がそこからもらう給与で生活しています。こう申す私もそうですが、「人が財産」という業種は、もう成り立たなくなるでしょう。

 昨日も申しましたが、支持・不支持はさておき、安倍内閣を潰さないためにも「愚策潰し」を急がなければなりません。

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『外形標準課税という悪魔』に2件のコメント

  1. hoente:

    始めまして。
    外形標準課税は「人件費のかかる企業ほど税負担が重くなる」
    これですと、利益がトントンでたくさんの従業員を雇用している優良企業が、税金の負担に耐え切れなくて解雇するという事態になります。
    国民は声を上げるべきですね。

  2. matu:

    「人民は奴隷制度や農奴制度のころより、もっと無惨な労力を強いられている。彼らは奴隷制度や農奴制から逃れ出したものの、貧困からはとうてい抜け出せない。

    われわれが憲法の中に書き入れた、人民の権利という言葉は虚構のもので、決して現実にはありえないものである。

    人民の権利とは、貧しい彼らにとって何とも皮肉というほかない。というのも彼らは毎日苦しい労働に明け暮れていて、人民の権利を使うこともできないからだ。

    われわれの権力は、労働者を慢性的な栄養失調と無気力な状態におくことによって保たれる。」

    「経済生活で優越をうるための激しい闘争と市場での絶えざる投機は、人情酷薄な社会を現出するだろう。そして高尚な政治や、宗教に対して嫌気がさし、金儲けに対する執念だけが、唯一の生き甲斐になる。彼らは金でえられる物質的快楽を求め、金を偶像視してしまうだろう。」
           (シオンの議定書)