皇后陛下が語られた憲法

皇紀2673年(平成25年)10月21日

 http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/01/kaiken/gokaito-h2……
 ▲宮内庁:皇后陛下お誕生日に際し(平成25年) 宮内記者会の質問に対する文書ご回答
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131017/plc131017……
 ▲産經新聞:安倍首相と維新・石原氏が憲法改正で論戦、一方の民主は…

 旧太陽の党(日本維新の会)の石原慎太郎共同代表は十六日、衆議院本会議の代表質問で、「現行の憲法に歴史的な正統性があるのか。ないなら、憲法の『無効』を明言したらよろしい」と迫りましたが、安倍晋三首相は「現行憲法は最終的に帝国議会で議決され、既に六十有余年が経過し、『有効』と考えている」と答弁してしまいました。

 現行の占領憲法(日本国憲法)が帝国議会で議決されたのは、それが大日本帝國憲法第七十三条・七十五条の改正要件を満たしていないにもかかわらず、連合国軍による占領統治下の施策、或いは講和条約締結のためのやむをえない妥協に過ぎなかったからで、当時日本共産党の野坂参三衆議院議員でさえ草案を前にして占領憲法の無効を見抜いていたほどです。

 つまり、今でも自前の憲法(大日本帝國憲法)に違反したまま、わが国は正統性のない基本法に従って国家権力が動いていることになります。年月の経過は正統性の弁明になりません

 仮に安倍首相の答えが正しければ、彼自身が懸命に取り組んできた北朝鮮による日本国民拉致事件に於いても、既に三十有余年が経過していることをもって「もはや拉致被害者は北朝鮮人民であって日本国民ではない」ということになってしまいます。

 占領統治下で憲法が奪われたこと、北朝鮮によって何人もの日本国民が拉致されたことのいずれも、原状回復が当然であり、盗られたまま放っておくなどありえません。わが国が初めて占領統治を受けたのは事実としても、そのたった一度の敗北で全てを否定したままであることは、かねてより蔓延する「侮日意識」そのものです。

 しかし、安倍首相こそが「戦後レジームからの脱却」を掲げた立派な政治家だったはずであり、その人がまたも同じ口で占領憲法を「護憲」してしまうとは、一体何事でしょうか。

 そのような中、皇后陛下は御自身の御生誕の記念に際して、以下のような御言葉を文書にて発せられました。宮内庁が公開したものから重要な箇所を抜粋します。

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 かつて、あきる野市の五日市を訪れた時、郷土館で見せて頂いた「五日市憲法草案」のことをしきりに思い出しておりました。明治憲法の公布(明治二十二年)に先立ち、地域の小学校の教員、地主や農民が、寄り合い、討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案で、基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務、法の下の平等、更に言論の自由、信教の自由など、二百四条が書かれており、地方自治権等についても記されています。当時これに類する民間の憲法草案が、日本各地の少なくとも四十数か所で作られていたと聞きましたが、近代日本の黎明期に生きた人々の、政治参加への強い意欲や、自国の未来にかけた熱い願いに触れ、深い感銘を覚えたことでした。
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 皇后陛下は、私たち臣民の間で憲法論議が盛んになリ始めたことを取り上げられ、大日本帝國憲法の制定過程で奮闘した先人たちのことを語られました。明治の当時から人権や自由の保障を巡る議論が活発になされていたことを私たちにも明確に思い出させるものです。

 そこに占領統治下の連合国軍と政府の相互牽制の過程や、その後の憲法論議などは一切ありません。皇后陛下が思い出されたのは、あくまで大日本帝國憲法のことなのです。

 天皇陛下も皇后陛下も、私たちの政治を御決めになる御立場ではなく、祭祀を司られる御立場であらせられますから、文書の御言葉以上のことは分かりませんし、御気持ちを詮索すべきでもありません。

 ただ、私たちはその御言葉から真実を見い出すのみであり、わが国にあって正統性のある憲法とは何であるか、これで自ずと答えが出たではありませんか。

【11.4 第9回憲法問題決起集会のお知らせ】
 詳しくは真正保守政策研究所 公式ウェブサイトをご覧ください。

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『皇后陛下が語られた憲法』に7件のコメント

  1. 匿名希望:

    皇后陛下の御心は、現在の憲法論議においても、「基本的人権の尊重や教育の自由の保障及び教育を受ける義務、法の下の平等、更に言論の自由、信教の自由など」を尊重してほしい、ということであろうかと愚考いたしました。

  2. 素浪人:

    遠藤様が書かれている様に、安倍氏は現・憲法と呼ばれているヤンキーの駄文作文に関して、先の衆院選の直前、インタビューへの返答として、戦後60年以上経っているし、我々はその憲法(モドキの駄文、小生註)に基づいて国会議員として選出されているのであるから、今更無効とは言えない、という旨の発言をしていました。

    先ず、戦後60年以上経過云々、という第一点に関しては、遠藤様が反駁されている通りだと思います。また、その憲法の下で云々、という第二点に関しては、実は小生も反論に窮する所でもあります。唯、小生個人の拙い判断では、

    『だからと言って無効の作文を国家の最高法規として崇め続け、天皇の位置付けが不当であり、その下で行政機関が動き、立法府の国会議員も選出され、などなどの問題を放置しておいて良いはずが無いではないか。それが明治以来の我が国を正当に継承する法治国家と呼べるのか』

    という、法律の素人的な思考気味ではありますがそう考えています。遠藤様のお考えではどう判断されていますでしょうか。是非ご教示頂ければ幸いです。

  3. AS:

    明後日の方向を向いてトンチンカンを述べるのも大概にして下さい、遠藤さん。
    皇后が言及した五日市憲法は日本国憲法の祖先です。
    断じて大日本帝国憲法ではない。

  4. 遠藤健太郎:

    AS様

     この度はご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。

     ただ、大変残念なことに、あなた様の書き込まれた内容に著しい間違いがございますので訂正させてください。
     五日市憲法(別名=日本帝國憲法)といういわゆる「私擬憲法」のうちの一つは、明治十四年に起草されたもので、皇后陛下の御言葉の中にもあります通り、「明治憲法の公布(明治二十二年)に先立ち、地域の小学校の教員、地主や農民が、寄り合い、討議を重ねて書き上げた民間の憲法草案」であって、日本国憲法の公布に先立って起草されたものではありません。時代が全く違います。

     あなた様がお書きになった「日本国憲法の祖先」というのは、内容としての結果論に過ぎず、五日市憲法の存在は大日本帝國憲法の公布前に盛んになった憲法論議の結果ですから、表現としても著しい語弊があると拝察します。

     記事の中でも申しましたが、明治の先人たちが既に基本的人権の尊重などを大きく掲げるよう議論していたことこそ、私たちがすっかり忘れてしまったわが国の歴史であり、大東亜戦争以前の日本がまるで「暗黒の国」であったかのように喧伝したがる今日の風潮にこそ、大きな間違いがあるのです。

     どうか間違った認識のまま私擬憲法の歴史を修正してしまわないでください。

  5. 遠藤健太郎:

    素浪人様

     この度はご意見をお寄せいただき、ありがとうございます。

     大変重要なお尋ねですから、端的にお答えしたいと思います。
     従前の占領憲法無効論、或いは破棄論は、ご疑問の点に対して全く説明出来ない或る種感情的なものだったわけですが、新無効論が法理論としてこの点を十分に補完しているのは、大日本帝國憲法が現存有効であることを法理原則に基づいて明言していることです。よって国会はその復原を議決(確認)する必要があります。

     現状の国会は占領統治体制に於ける帝国議会の代行機関であり、確かに現国会議員は占領憲法下で実施された選挙によって選出されていますが、従って占領憲法の無効を確認したからといって資格を失うものではありません。これまで制定または改正された諸法律についても同様です。

     大日本帝國憲法下の法改正により、昭和二十一年四月十日実施の第二十二回衆議院議員総選挙で初の女性代議士が三十九名も誕生したことが、今やあたかも占領憲法の手柄のように誤って認識されていますが、現行の選挙法は大日本帝國憲法の条文によっても有効である(選挙を禁じる条文などない)ことから、再び大日本帝國憲法そのものの有効が確認されても選挙結果が(憲法違反の議論は別にしても)無効になったりはしません。

     占領統治が終わっているにもかかわらず、その体制を続けるのか否か、という国家的問題です。「今さら言えない」などという問題ではありません。

  6. mgmg:

    ASは護憲派の反天皇制左翼なのかバカなアベ信者なのか

    皇后陛下を「皇后」って書いてるしな

    どこ向いてんのかも分からんトンチンカンはおまえだよ

    それにしても安倍総理も頭悪いよな

    これでよく戦後レジームからの脱却なんて言ったもんだ

    次の総理は石原氏に有終の美を飾ってもらえばいいよ

  7. 素浪人:

    遠藤様

    丁寧なお答えありがとうございました。また、お礼が遅れまして申し訳ありませんでした。

    現在の国会は飽く迄帝國議会の代行なのですね。やはり大日本帝國は地下水脈の如く、しっかり現存していることを確信出来ました。鋭意、皇國再興を目指し、自分なりに護国活動して参ります。