猪瀬知事とNYTへの疑問

皇紀2673年(平成25年)5月1日

 http://www.nytimes.com/2013/04/27/sports/in……
 ▲The New York Times:In Promoting His City for 2020 Games, Tokyo’s Bid Chairman Tweaks Others

 米ザ・ニュー・ヨーク・タイムズ紙(NYT)は四月二十七日、平成三十二年予定の夏季五輪大会開催地候補の一つである東京都の猪瀬直樹知事が土国(トルコ)を批判したと報じました。土国も、イスタンブルが回教圏初の開催を目指して立候補しています。

 猪瀬知事は「Islamic countries, the only thing they share in common is Allah and they are fighting with each other, and they have classes.(回教国が共有しているのはアラーのみであり、彼らは互いに戦い合っている)」と述べ、土国の若者は長生きしたければ日本の文化に見習うべきだとも発言したと報じました。

 事実であれば国際五輪委員会の規則に違反しますが、当初猪瀬知事は「事実と異なる」と反論し、NYTもこれに対して「日本人記者による取材で録音もしており、記事に間違いはない」と言い返しています。そして知事は昨日、正式にお詫びと発言の撤回を宣言しました。

 問題の日本人記者は田淵広子氏です。彼女はまだ若い記者ですが、かつて慰安婦問題で韓国側に立った根拠希薄な主張を展開したことがあり、NYTと朝日新聞社の関係を疑わせたいわゆる「オオニシ路線」と言えましょう。

 私は決して猪瀬知事を擁護する立場ではありませんが、どうやらそもそもの質問の趣旨が違っていたようです。取材の中で回教圏に対する印象を尋ねておいて、いわば知事が不用意に述べたことを五輪規則違反に仕立てたきらいがあります。知事もイスタンブルが候補に残っている以上、そのような質問に答えるべきではありませんでした。

 最も私たちにとって気掛かりなのは、日土関係に影響するかもしれないことです。この深い関係について、これまで何度も和歌山県民である私は皆様に申してまいりましたが、今のところわが国への非難に繋がるような動きはありません。改めて土国民に親愛の情を伝えておきましょう。

 実のところ、私は縁あって東京招致に協力しているものの、仮にも東京でないとすればイスタンブルが開催地に選ばれるべきだと思っています。国家財政と経済が危機的な西国(スペイン)のマドリードは申し訳ありませんが論外です。

 私の親しい欧州の友人たちは皆口を揃えて「東京とイスタンブルはない」と言いますが、私もわが国の候補地として「果たして今さら東京でよいのだろうか」という疑問があるのは否定しません。ですから、東京招致に反対しただけで「反日」とは言えないでしょう。

 しかし、質問に対する発言は事実にせよ、その質問が極めて意図的であり、記事に悪意があったとすれば、その限りではありません。さらに申せば、猪瀬知事を含めて私たちの中にある「米国が扇動した『回教憎し』の思い込み」は、わが国を窮地に追いやるかもしれないということです。

 案外NYTが書き立てた記事(東京都知事の発言)に、米国民は何ら違和感を覚えないかもしれません。宗教内対立は回教に限った話ではなく、私たちは土国や、特に義国(イラン)との関係を欧米とは切り離して考えなければならないのです。

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『猪瀬知事とNYTへの疑問』に5件のコメント

  1. matu:

    >意図的に仕立てられた

    のでしょうね。
    それにしても謝罪すれば無かったことにしてもらえると考えたとすれば、それはわが国内でのみ通用することであって、都知事としてはご自分の真意を根気よく訴えるべきであったのでは・・。

    「イスラム圏で初のオリンピック」 都知事にはこの意味が分からないようですが
    私は、良いことだと思います。トルコ・イスタンブールには頑張っていただきたいですよ。

    先のボストン爆破にしても、意図的にイスラムは危険と印象付けるために為されたように思われますね。

    米国製の憲法の悪意、同様に米国発の報道の悪意も見抜かなければなりませんね。
    実際のところ、「けんかばかりしている」(=戦いが好きな)のは米国ですからね。

  2. 匿名子:

    首相公選制は、無理ですね。関係無いけれど、そう連想させられました。
    首相公選制になれば、もっと外交慣れしていない方が選ばれて首相として外交する可能性を捨てきれないのです。
    私は一票猪瀬さんに入れました。石原さんが猪瀬さんと言ったから、そして石原都政に深く関わった方に引き継いでいただけるのが一番良いと思ったからです。
    石原さんにもっと多くのことを学んで欲しいです。
    支那という時も、しっかりとした裏付けがあってのことでした。
    猪瀬都知事は「誰が敵か味方か分かった」という意味合いのことをTwitterで書いているらしいと聞きました。それも石原都政との違いを強く感じさせられてしまうのです。
    石原さん時代の都知事会見では、非常に失礼な物言いをする記者(大小新聞社もフリーの記者も)も居て、見ているほうが頭にきてしまうほどなのだけれど、石原さんはそれでも相手のバックグラウンドを聞いて「そうか、それじゃあ僕とは大分考えが違うだろうけれども」と言いつつもしっかり返事を返されていました。Twitter都政になると、それが、知事の敵か味方かしかなくなってしまうのでしょうか。

    一点、擁護になるどうか、喧嘩をfightingと訳されていたのは気になりました。
    そういうつもりではなかったのでは?と。
    英語全文を読んだ知人が、「トルコが今どこと戦争しているの?」と言っていました。fighting は、そう思われても仕方ない。しかし、猪瀬さんの今までの会見などでの話し方や著作などから、喧嘩というのは、もうちょっと違う意味(軽い意味)だったのではないかな?とも思えるのです。誤訳とは報じられていませんので、本当のところはわかりませんが
    地方分権制度を考える参考にもなりますね。私の記憶が間違っていなければ確か猪瀬都知事は、国防と外交は国がというポジションだったかと。

  3. ゆき:

    中東は油がでるので不穏だ。イランは革命後ずっと米国の脅威に晒されている。原理主義と石油に手が届かないのが気にいらないのだ。米イラク戦争はイラクで主流派であったスンニー派を叩くことになり、結果として対立するシーア派が台頭し、首相がシーア派の国家イランのいいなりになっている。シリアは親イラン国。アサド派に武器がイラク上空を通過してイランから流れている。レバノンもヒズボラというシーア派が牛耳っていたが、変化あり。イラン周辺国にシーア派が台頭し、イラクでスンニー派の巻き返しが起きている。毒ガスを口実に米国がシリア反体制派につけば、イラン米国の代理戦争になりそう。トルコもシリアのクルドが活動し始めたら、国内にいるクルドが不穏になる。確かに中東は宗派争いが絶えない。しかし、外国が勝手に国境線を引いたり、戦争を起こしたりするのも原因だ。戦後マスコミに朝鮮人を優先的に採用して日本を監視するような形にしたのは米国だとするなら、争いはよく似たものでお互い様である。しかし、親日国のトルコをあんなふうに蔑むのは知事の器が小さい証拠だと思う。前からこの知事の頭が硬いということを感じていた。

  4. ゆき:

    日本はアメリカの目を通してしか中東のニュースを伝えない。関心がない国民だ。
    しかし、韓国や中国が中東に進出しているとしるや、落ち着かなくなる。そして一斉に知識もないマスコミや企業がそこになだれ込む。日本人がバカにしている韓国も呆れているだろう。国家間の戦争しか争いではないというのは日本人の考えである。国境線をひかれた民族の独立願望の小競り合い、多民族国家における主たる民族ーアフガンはパキスタンにもいるパシュトン、イラクはフセインのようなスンニー派が他国の介入で勢力がしぼみ少数派に逆転させられると回復させるため争いを起こす。米国の愚かな戦争で腸内細菌が抗生剤の過剰投与でその編成が変わるように、主流派を叩いた結果、統治経験のない民族が台頭し、元の主流派が権力の回復を求めて死ぬまで戦うのである。クルドは一千万いると言われ、イラン、イラク、シリア、トルコにまたがるスンニー派のイラン系民族である。どこかで独立の動きがあれば、各国共同戦線をはるわけである。今クルドにトルコは神経をとがらせている。
    中東の言語を学んで少しばかり留学したおばさんの中東情勢のご紹介でした。

  5. ゆき:

    本日の読売にクルドのことが大きく載っていました。人口は3000万人。1000千万と書き、間違いを正します。またアルメニア、アゼルバイジャン(共に旧ソ連の元共和国)も彼らの居住地域です。トルコからイラクに武装組織が拠点を移すそうです。イラクのスンニー派の副首相が、シーア派による暗殺を恐れてトルコに亡命中ですね。