米投資会社が西武乗っ取り

皇紀2673年(平成25年)3月17日

 http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE92……
 ▲ロイター:西武HDが有識者会議を設置、サーベラスからのTOBに対し助言

 米国の投資会社サーベラスは、西武ホールディングス(非公開会社)への保有株式を三分の一以上に引き上げるため、株式公開買い付け(TOB)に踏み切る方針を固めました。サーベラスは六月の株主総会で、五味廣文元金融庁長官や生田正治日本郵政公社(現日本郵政)初代総裁など三人の取締役選任を提案するとしています。

 グランドプリンスホテル赤坂(旧赤坂プリンスホテル)の解体工事が一時期話題になりましたが、失礼ながらもともと二流だったプリンスホテルは昨今ますます「貧乏くさい」有様で、私の目にも明らかなほど、新高輪のラウンジを会談の場に使用した際にそれを如実に感じました。この時、私はたまさかプリンスホテル関係者の嘆きを耳にしています。

 ここまで堕ちた原因は、堤義明氏を巡る一連の訴訟がいまだ決着を見ていないことにあり、衆議院議長も務めた堤康次郎氏が招いた「犬神家の一族」ならぬ「堤家の一族」の怨念にあるとも言えましょう。

 しかし、だからと言って鉄道網を有するわが国企業を米投資会社に売り渡してもよいことにはなりません。私企業の「私鉄」であっても、社会基盤の一翼を担う会社に外資の侵入を許してはならないのです。

 現に私鉄でも運賃の値上げは国土交通省の認可が必要であり、ところがサーベラスは西武に対して勝手に運賃を二倍に引き上げるよう迫っています。この条件が到底呑めない西武は、自力での再上場を断念させられました。そして、今回の顛末へと至っているわけです。

 西武ホールディングスは後藤高志社長を筆頭に、プリンスホテルの関根正裕取締役常務が実のところ協調して赤字体質からの脱却に取り組んでいるのですが、そこへサーベラスの無茶な要求が飛び込み、前述のようにただ経営の厳しさが露呈してしまうようになりました。

 民主党政権下、時価総額でほぼ同程度の日本航空が血税の投入で救われたのに対し、西武はまるで放ったらかされたままです。なぜなら西武には米投資会社の介入があるからでしょう。

 サーベラスが提案する人事案も極めて疑惑の多い人物を配したもので、わが国企業を外資に売り渡すのに都合のよい者たちが選任されようとしています。

 報道関係もそうですが、国家安全保障の思考回路が錆びついたわが国では、簡単に外資の侵入を許し、歓迎さえし、問題意識が全くありません。これを非難すれば「内向的」だの「臆病な愛国主義」だのと筋違いな批判を浴びますが、平時に於いても外敵から身を守ろうとする本能を失った状態こそ正常ではないのです。

 西武よ、頑張れ!

スポンサードリンク

Comments are closed.