日ロ電力連携は絶対キケン

皇紀2673年(平成25年)2月28日

 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013022700682
 ▲時事通信:領土解決には経済協力を=「次世代」持ち越しも-ロ極東相

 森善朗元首相が訪露し、ウラジーミル・プーチン大統領と会談しましたが、結局のところ北海道千島列島と南樺太の帰属確認と実際の返還交渉については何も始まっていません。安倍晋三首相は自身の訪米中にまずは露国へ「偵察人員」を送ったといった段階でしょうか。

 私は二十二日記事で、「現在は資源問題でもむしろ安倍首相のほうが露国に対して優位」であり、且つ「プーチン大統領が『引き分け』と発言したのも、経済の安定なくして自身の政権の安定もないため」と指摘しました。

 ヴィクトル・イシャエフ極東発展担当相が、領土問題の解決には経済分野の協力強化が先決だと主張したのも、わが国との特に資源や電力分野での連携なくして露国経済の維持がありえなくなり始めているためです。

 では、私が二十四日記事で「国家安全保障上極めて危険だ」と指弾したソフトバンクと三井物産による露国からの電力輸入構想は、いわゆる「北方領土」奪還の取引材料として政府が推奨すべきでしょうか。

 いえ、やはりありえないのです。経済協力を前提として領土交渉を進めるのではなく、領土奪還を前提として経済協力に向けた交渉をすべきであり、日露連携が「国際法的信用問題」を解決しなければならない課題であることを政府は主張しなければなりません

 かつて麻生太郎外相(当時)が唱えた「自由と繁栄の弧」はすなわち「対中包囲網」として機能する大戦略ですが、欠けていたのは露国の一片です。露中関係も良好に見えて水面下ではいくつもの火種を抱えており、ならばわが国としては味方に引き寄せようとばかりに領土交渉に於ける妥協を模索した形跡がありますが、これは中韓に対して誤った意思表示に繋がります。

 そして、露国が必ずしも中共に最後の一線を超えるような対応をするとは現状思えません少なくとも日露間にこの点での信用が全くないのですから、「連携すれば露国は日本のために中共との敵対も辞さなくなるだろう」といった根拠薄弱な楽観論で交渉していくことを、まさか私たちが安倍首相に求めてはならないのです。

 何度でも申しますが、日露間では大東亜戦争がまだ終わっていません講和が発効していないのです。これを前提として今後日露の連携を思案すべきを、軽率な「電力連携」に奔って領土問題を置き去りにすることは、島根県隠岐郡隠岐の島町竹島の奪還を諦めた、或いは沖縄県石垣市尖閣諸島は盗まれてもよいといった間違いを中韓に向かって言ってしまうに等しくなります。

 私は、無気力・無思考に全体主義へ奔りがちな露国人を愛おしく、また哀れにも思い、一方で狂気の沙汰を持ち合わせた彼らへの警戒心を解きませんが、決して日露連携の将来を否定するものではありません。むしろ安倍首相の周りに妙な助言者がうろつき、外交判断を狂わせるのではないかと心配しています。

 安倍首相は有利な立場にいるのです。それを台無しにするような要求を私たち(民間企業側)がすべきではありません。

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