菅政権が巻き散らした被曝

皇紀2671年(平成23年)7月10日

 http://www.news-postseven.com/archives/20110708……
 ▲NEWSポストセブン:「福島の子供のほとんどが内部被曝している」武田教授指摘

 中部大学の武田邦彦教授が福島第1原子力発電所事故について指摘してこられたことは、これまでも何度かここで取り上げましたが、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故や、或いは核保有各国が計約500回もやったとされる大気圏内核実験で巻き散らされた放射性物質に比べ、その量は極めて少ないものの、端緒が大地震と大津波という自然災害だったとはいえ、事故後対応をいちいち間違えた菅政権の罪は非常に重いのです。

 問題の本質は、米国製の軽水炉が事故を起こした時に対応する力をそもそもわが国が保有していなかったことにあり、責任と権限の所在も曖昧なまま、あっという間に菅直人首相のような人物では全く何も動かないことが分かりました。

 枝野幸男官房長官の言う「直ちに健康被害はありません」とはその通りかもしれませんが、これはすなわち「数年後、十数年後には健康被害が出るかもしれません」ということです。

 その頃に勃発しうる法廷闘争と被災者への賠償問題について、経済産業省や厚生労働省、文部科学省では自分たちが現職を辞めた後のことだと思っており、これではますます優秀な若手官僚ほどすぐに退官するでしょう。一方の政治家たちはどう考えているのでしょうか。

 欧州連合(EU)が決めたいわゆる原発の「ストレステスト」(わが国の災害規模に準じたものではない)の実施を菅首相に耳打ちしたのがどなたなのかは存じませんが、これに飛びつき、あくまで「脱原発のフリ」をする菅首相に、半ば「もう着いていけない」と感じているのが(この人を擁護するつもりは全くありませんが)海江田万里経産相に違いありません。

 8日の参議院予算委員会での海江田経産相の答弁は、その表情といい内容といい、静岡県の浜岡原発だけを止めながら残りの原発に安全宣言を出す、つまり「原発依存」を決めたはずの菅首相に対する「呆れ」に満ちていました。

 そして、委員会室の閣僚席から誰もいなくなったのです。菅首相ただ1人を除いて。その後の衆議院本会議で「恥の文化」を口にした菅首相こそが「恥」を知るべきです。

 当初から私は申してきましたが、事故発生と同時に一気に巻き散らされた放射性物質から国民(臣民)を守るため、風向きと風力から予測しえた拡散地域に対して「直ちに」避難勧告を出すべきだったのであり、未だ無根拠な「30キロメートル圏内」という同心円での避難区域設定をやめず、米国政府に言われるがままだった事故規模「レヴェル7」の判断間違いを認めない菅首相に、もはや責任も権限もありません。

 大畠章宏国土交通相は同日、応急仮設住宅への被災者入居をお盆までに完了させるとしていた菅首相の方針を、実際には「遅れる」として否定しました。

 これこそが、日本国憲法(占領憲法)下では無理な復興の現実であり、かくの如く復旧の足掛かりすら築けないのは、そのような体制をよしとしてきた菅首相だからこその現象と言えましょう。自分は思いつきしか言わず、全てが縦割り行政のまま進行するため、有事想定の政治決断など出来るはずもないのです。

 民主党のような「烏合の衆」政党では、居座り首相を支える「(善くも悪くも)力の構造」がなく、安住淳国対委員長ら所属議員の皆が「自分はいい子ちゃん」になりたがるので、菅首相はもうこれ以上耐えられません。一刻も早く辞めていただかない限り、国会は不毛な議論に終始するのです。

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