みんなの役所は事実を隠す

皇紀2671年(平成23年)6月7日

 みんなの党という玉石混淆の妙な政党がありますが、この「みんな」の意味するところが「公」ということであるならば、まさしく「みんなの政府」は各省庁の権限と予算を守るために平然と公を離れ、国民(臣民)に知らせなければならない事実を隠蔽することが往々にしてあります。

 無論、機密費のように知らせる必要がないものはありますが、わが国土(皇土)を汚した福島第1原子力発電所から漏れた放射性物質に関しては、何度も申してきましたように、間違いなく情報を全て開示すべきでした。

 これが果たされなかった責任は、官僚だけが負うものではありません。民主党は情報開示を公約して政権をとったのであり、そのくせ公務員の組合に選挙の票を握られ、結局は同じ段取りで既得権益を死守してきた自民党よりも一層悪い政治を行い始めました。それでも菅内閣を引きずり下ろさなくてもよかったのか、と私は皆様に問いたいのです。

 昨日、テレビ朝日系列の番組に経済産業省の古賀茂明大臣官房付が出演し、堂々と実態の解説を交えて東京電力・経済産業省・内閣に対する痛烈な批判をしたと聞きましたが、かつて消費税増税の前に役所が身を削るべきだと主張した古賀氏を、いわゆる「悪い官房付」にしたのが菅内閣でした。

 或る企業への現役出向という形で古賀氏を追い出そうとした経産省でしたが、その慣例こそを批判の対象にしていた古賀氏は、年収2000万円の条件すら蹴ったといいます。現役官僚の中に、さまざまな分野で政府の抱える問題を告発しようとする者が、古賀氏だけでなく少なからずいるのは確かです。

 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/hisaichi/jimurenraku.html
 ▲厚生労働省:被災地で実施される調査・研究について

 このような事務連絡で研究を規制したり、放射線量の測定をさせないようにしてきた厚生労働省と文部科学省の幹部たちは、一体何を考えているのでしょうか。東京大学の小佐古敏荘教授が内閣参与を辞任した際にも、年間20ミリシーベルトという考えられない校庭利用基準を示し続けた政府判断に「本当に大丈夫なのか」と首を捻ったのは、何も小佐古教授だけでなく官僚や政治家の中にもいたのです。

 私が3月15日に更新した記事で、厚労省が独自の動きをとったらしいことを書きましたが、原発事故が危機的な状況になっていると知って急遽学者たちを集めた厚労官僚が(よくやることだが)新聞記者たちにそれとなく漏らしたからこそ情報が拡散しているのであって、それが実施されずに済んだものの、事実を隠蔽した政府と東電の発表にのみ従って記事にしなかった各新聞社も「大本営発表」のころから何も変わっていません。記者が書いても上層部判断ではねられてしまうのです。それがない「ネット・ジャーナリズム」は(皆様から私に対しても含めて)信憑性に不安があるとしても、その果たす役割は震災下でも注目されました。

 首相の指示を待たずに動いた厚労官僚を評価する一方、上層部は相も変わらずつまらぬことばかりやり、まんまと辞任に追い込んだ小佐古教授だけに「守秘義務」を押しつけ、報道関係者向け説明会を中止させた首相官邸に至っては、卑怯ではありませんか。

 民主党政権の低次元ぶりと、それがもたらす一層の官僚機構の堕落を指摘してきた方々が、なぜ国土(皇土)の土壌回復を訴えないのか、私は不思議でなりません。「わが国は大丈夫だ」と言いたい気持ちは分かりますが、汚れをはらわない限り退避した住民はいつまでも戻れず、資源エネルギーの自活どころか水資源の確保や食糧自給も難しくなるのです。

 何も産み出せない貧しく汚れた国を子供たちに残せますか? 米国や露国と向き合い、特に東南亜州諸国と連携し、中共や韓国・北朝鮮と戦ってでも自立再生を果たす日本を目指さずして、私たちが政治家や官僚に「公に尽くせ」と訴えることも適わないのです。

 私たちの志の低さが現下の怠惰な政治を許しており、よって国家の再生を提言した官僚や政治家、学者、政治活動家たちが社会の枠をはみ出した異形の存在にされるのでしょう。おかしな恰好をして既に死にかかっているのは、「考えるな」「従え」と言っているそこのお前だ!

 真正保守政策研究所:新しい資源エネルギー政策を提言します

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『みんなの役所は事実を隠す』に1件のコメント

  1. 普通の日本人:

    ひとえに

    教育勅語を

    排除した教育をしてきたからです!

    教育勅語を復活すべし。