ロート製薬ちょっといい話

皇紀2671年(平成23年)10月1日

 http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110921/biz11092……
 ▲産經新聞:カゴメ、カルビー、ロート製薬が震災遺児支援で基金

 大阪市に本社を置くロート製薬について、ここでは、約48年間も放映され続けたオープニングキャッチ(テレビ番組の提供クレジット)の歴史に触れたことがありましたが、なかなか興味深い企業です。

 ロート製薬は、東日本大震災発生直後の3月25日、宮城大学内に「震災復興支援室」(河崎保徳室長)を設置し、吉野俊昭社長ら取締役の全員が1年間の月額報酬10%の返上を決め、それでも震災遺児1人当たり約25年の支援には足りない費用を捻出すべく、協力企業を探していました。

 明治の創業者・山田安民氏の曾孫である山田邦雄会長は、震災で親を亡くした子供たちの成長支援を担うことについて「社会の公器としての企業の責任」と語られましたが、私には、彼らがもっと本能的にたちあがったように見えます。

 日本の民族性は、わが国土特有の自然の恵みと脅威によって形成され、教育勅語で説かれた「博愛衆に及ぼし 学を修め業を習い 以て智能を啓発し 徳器を成就し 進んで公益を広め 世務を開き」との詔は、極めて本能的なものだったと言えるのです。そうしなければ、わが民族は生きていけませんでした。

 ロート製薬とて営利企業ですが、今さら「売名」の必要もない彼らが自社製品の売上げを伸ばすことを考えれば、面白い広告を打てばよいのであって、いわば地味でさえあるこのような活動に出たのは、やはり経営者と社員たちの「生命を繋げたい」という本能、そして「お客を待つのではなく、お客を育てる(内需を育てる)」という理念があったと思うのです。

 昨今はその映像広告も、下手な打ち方をすれば花王のように抗議の声にさらされてしまいますが、花王が保有する最大規模の工場は決して中共や韓国にありません。研究所とともに和歌山市にあるのです。

 一方、ロート製薬の呼びかけに応えた1社のうちカルビーは、本年6月に韓国のヘテ製菓と合弁会社を設立し、7月から韓国での製造を開始しましたが、国内製造の輸出に耐えられなくなった企業が海外へ脱出せざるをえなくなったのも、財務省主導政治にはしった民主党政権の無策が招いています(どうすればよいかの提言は何度も申してきましたので、今回は割愛します)。

 内需も外需もなく短期的な営利を求めると、わが国から近い中共と韓国へ避難してしまえばよいのでしょうが、産業の智能を蓄積して発展させ、子々孫々へと渡してゆくということを軽視、或いは拒むやり方は、まるで侵略しながら惑星を渡り歩く「悪役異星人」と同じで、結局はよそに盗まれて消えるしかありません。

 昨年の記事で私が指摘したロート製薬の「継承することを大切にする」企業文化が、こうした活動を始める素地になったと思うのです。以前にも申しましたが、私は「買うな」という運動より「買おう」という運動を奨めます。

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