これは斬新な日独比較論

皇紀2674年(平成26年)1月2日

『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』

川口 マーン 惠美=著

 本日はおすすめの本をご紹介しましょう。拓殖大学日本文化研究所の川口マーン惠美客員教授がお書きになった『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』(講談社プラスアルファ新書)です。

 実はこの本、目下大変売れているそうでして、独国南西部バーデン=ヴュルテンベルク州シュトゥットガルトに住んでおられる川口先生が、独国をけなされると褒めたくなり、独国を美化されるとそうでもないと言いたくなるという複雑なご心境でお書きになった、かなり面白い本なのであります。

 お気楽な題(タイトル)がつけられてはいるものの、これは斬新な日独比較論であり、まず沖縄県石垣市尖閣諸島の領有権問題から書き始められているのは、さすがの川口先生です。

 独国人はよく私たち日本人と同列に「勤勉」と評されることが多いのですが、私が以前に申した通り、本当のところは仏国人とまた違う「強烈な個人主義」の方向軸を脳内に有しており、融通が利かなくて困ることもあります。だから電車が定刻に着くことなどありません。

 亜州某国で独国人と話し初めに「お疲れですか」と尋ねられ、私が「ええ、少し」と答えた途端、延延と黙り込むのが彼らです。疲れを口にした者は話しかけられたくないと考えるのでしょうが、思わず「あんたらは何をしに来たのか」と言いたくなってしまいました。

 そのくせ彼らは議論が好きです。哲学的な議論には天才的能力を発揮し、何かと結論を急ぐ日本人の欠点を露呈させます。

 川口先生がお住まいのシュトゥットガルトは、独国を代表する工業都市であり、経済に於いて日独米が互いに仮想敵国の関係にあることは明白ですが、この本は、その予定がある人にとって訪独前に一読の価値ありでしょう。おすすめです。

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